新採教員はしんどい|企業新入社員との違い|教員1年目の乗り越え方

高校教員の仕事
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社会人1年目って大変ですよね。緊張と忙しさでストレスを感じっぱなし。

その中でも教育現場における新人たちのハードさはより際立っていると感じます。現場の悩みには次のようなことあげられます。

  • 新人なので多めにみてほしいし助けてもらいたいけど、生徒の手前、未熟な姿は見せられない。お手本となる大人でいなければならない‥
  • 学級運営も授業もいきなりぶっつけ本番。何からすればいいのか分からない。
  • みんな忙しい。誰も教えてくれない

このような環境でペースを掴めずにいると悩みを抱え、前向きに仕事に取り組めない状況に陥ってしまうケースがよくあります。

私は大学卒業後、民間企業で新社会人の時期を過ごしました。その後、教員へ転職したとき周りの新採教員の過酷な環境を目の当たりにしました。サポート体制に違和感を感じるとともに、この職業ならではの要因があることも理解しました。

この記事では、学校特有の初任者環境を理解し、「教育現場での1年目の乗り越え方」を提案します。

この記事を読めば「乗り越えるために必要な手立て、考え方」を知ることがきます。

仕事のペースを早くつかめるようになりたい人は最後まで読んでください。

企業と学校 – 新任者をとりまく環境の違い –

教育現場と企業の職場環境の違いは、子どもを相手にするという点にあります。

何を当たり前なことを!と思いますよね。でもその事実こそが、教員になりたての時期にはしんどさになるんです。

大人同士の職場環境なら、若干の配慮があります。相手が顧客であっても、新人と分かればそれ相応の期待値で接しているもの。

しかし生徒にとって教員は新人もベテランもありません。「先生はみな、同様にできて当たり前」と思っています。

なので教員1日目でも生徒の前では「お手本となる大人」であることが求められます。一方で社会人としては「右も左も分からない新人」という2面性を備えているのです。

そうした違いから、新任者をとりまく職場環境は企業と学校で次のような差があります。

企業学校
* 立場
新人。
しばらくは教育を受ける側。
一から教わる。
上からの指示に従う。
新人でありながら、即戦力。
生徒の前では一人前の教員。
自分で判断することが求められる。
* 教育
指導社員がつき、仕事の進め方を学ぶ。
初日から1人で仕事を任される、といった状況はほぼない。
いきなり本番肩慣らし期間はゼロ。
クラス運営も授業も生徒指導も1人で行う。指導教員はいるものの、常に隣にいるわけではない。
* ミスをしたとき
叱ってくれる・叱られる。
何かしら解答をくれる。
フォローが入る。
基本、自己責任
指摘やアドバイスはあるが、判断は本人に任されることが多い。
明確な答えはなく、自分で模索する。教員本人の意思を尊重する傾向がある。
* 能力やスキルの評価
業績が良ければ褒められる。
目に見える数値や成果があるので、力や能力の判断基準が比較的はっきりしている。
伸び悩んでいるときは厳しい面も。
誰も褒めてくれない。教える立場にあるため、新人であろうと「教員はみなできて当たり前」というスタンスが浸透している。
能力の判断が難しい。生徒の反応や変化がその対象になるが、一概にその教員の力が影響していると言い切れない。
企業と学校 新任者の環境の違い

企業から教育現場へ転職し、このような違いを感じました。

学校の大変な側面を述べましたが、これらはメリットにもなりえます。見方を変えて、課題の乗り越え方を考えてみましょう。

乗り越え方・対処方法

褒めも叱りも、指導もない

このことにおいては、「自由度がきく」と捉え直すことができます。

企業であれば明確な目標があり、それを達成できないと叱責されることだってあります。

一方、教員の仕事ぶりは数字では表せないし、明確な目標があるわけでもないです。
そして正解というものは存在せず、それぞれの倫理観や価値観に基づいています。

よっぽどのことがない限り文句を言われることはなく、自分の教育観に従って作り上げていくことが可能です。

つまり自分自身が「楽しむこと」を中心に据えることもできます。

そしてこのことは実はとても大切。
先生自身が楽しく仕事をすると、生徒にもよい波及効果が得られます。

但し生徒指導ができて、生徒の満足度が高くあることは求められます。

そのためには、生徒をよく理解し、指導上重要なポイントを押さえておく必要があります。

自分から頼りにいく

それらの観点は自身の知識理解だけでは不十分なこともあります。補うためには、経験を積んだ教員から教わることも必要です。

でも教員はそれぞれ自分の仕事に追われているので、相手から教えてくれるという状況は期待できません。

疑問を持ったらタイミングをみて自分から相談する。みんな忙しい学校現場ではそのアクションも仕事の一環だととらえて取り組みましょう。

フィードバック習慣

細かい指摘を誰もしてくれないので、自分で自分を褒め、ダメ出しをすることを習慣づけてください。

クラス運営や授業で、

  • うまくいった点、反応が良かった点、変化や成長を感じられた点(生徒も自分も)
  • 流れが悪かった点、変更すべき点、反省事項
  • 気づき、新たな発見

などピックアップして振り返りましょう。

自己成長を促し、客観的に「教員としての自分」をみつめることができます。

私も授業後は、職員室に戻るなり気づきをノートに書き残していました。分析することで、目標を明確にして次の授業に臨むことができます。

この積み重ねが、自分の軸をより強固なものにしていったと感じています。

誰かに教わるのではなく、自分で自分を作ること。最終的にはこれが一番の自信につながります。

生徒の前では教員としてのふるまいを

1年目は分からないことしかありません。

それでも、不安な表情は見せず堂々とした振る舞いを心がけてください。落ち着いた対応は生徒に安心感を与えます。

心の中ではいくら慌てても、焦っていても構いません。

そして生徒のいないところで、周りの教員に不安を打ち明けしっかり頼るようにしましょう。

いきなり本番 

初任で担任をもつなど、十分な知識もないまま本番を迎えるのはプレッシャーがかかるもの。

しかし見方を変えると「自身の感覚をもとに実践できる」職場環境とも言えます。

企業のように先輩からノウハウを学ぶ期間がないので、何にも染まることなく自分カラーで仕事を進められます。そして早い段階から、自分の強み弱みに気づき成長していくことができます。

「独り立ちする自信がまだない」と一歩を踏み出せずにいても、納得のいく完璧な自分はやってきません。腹をくくりましょう。

クラス運営にせよ授業にせよ、教員になった瞬間から一人前として任されることに自信と責任を持ち、自分スタイルを確立していきましょう

具体的イメージを持つ

しかし初めての経験は、何が起きるか予想ができないもの。そのため理想と現実のギャップに戸惑うことも多いです。

その溝を小さくするのに有効なのが経験者の話を聞くこと。先輩教員に次のようなことを聞いてみましょう。

  • クラス運営の1年間の大まかな流れについて
  • 教員をやっていて驚いたエピソードとその対処法
  • 生徒の信頼を得るために普段気を付けていること
  • 失敗談
  • 教員としてやってはいけないこと・やるべきこと

などなど。

未経験の世界で起きることは、自分の知識や想像の範疇を超えています

「いきなり本番」というハードルを乗り越えるには、経験者の声をもとに起こりうる状況をできるだけ多く想定しておくことが重要です。

そしてその場に身を置いている自分を想像して臨みましょう。

まとめ

企業と学校の新任者を取り巻く環境の違いから、学校現場での仕事の取り組み方を考察しました。

– 対処法おさらい –

  • 新人であり教員である立場のジレンマ
    生徒の前では堂々とした振る舞いを、教員同士の場面ではしっかり頼る
  • ぶっつけ本番の状況がストレスフル
    さまざまな状況を想定する。そのために先輩教員の経験談を引き出す。次に何をすべきかを考える「先読みグセ」をつける。
  • 誰も教えてくれない
    自分から頼りにいく・自分軸で答えを築いていく
  • 細かい指導が入らず自分が正しいのか分からない
    → 生徒の様子をもとに良い点悪い点気づきをまとめ、客観的に自分を評価する
流れを自分で作っていこう

こうしたことを意識して、1日でも早く自分のペースをつかんでいきましょう。

応援しています!

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