ChatGPTが仕事に役立ち便利だと言うことはご承知の通り。
でも教育現場においてこんな疑問を持つことはありませんか?
- どんな場面で使えるのか分からない、具体的イメージがわかない。
- 教科によって向き不向きがあると思う。
- ‥要は手抜きなんでしょ?
この記事を読めばそれら全ての疑問、悩みを解決できます。
紹介する指示文(プロンプト)はどの科目にも簡単に応用がききます。
ご自身の教科に置き換えてChatGPTに尋ねてみてください。
またChatGPT活用は効率化を目的としているだけで手抜きではありません。そのことについてもお伝えします。
自信を持って活用し、生まれた時間で教養を深めプライベートの充実を図りましょう。
ChatGPT×授業 活用事例
計画
授業計画
単元計画や補習授業の計画案を出してもらいます。
年間シラバスは教科書会社でも例が作成されているので、ここでは模試に向けた特別授業の計画を聞いてみました。
高校2年生の7月⚫︎⚫︎模試に向けた補習をするとしたら、英語、数学、国語ではどのような単元を扱えばよい?
補習はそれぞれ3時間ずつあります。タイムスケジュールと合わせて提案して。
ChatGPT回答
生徒の弱点克服に向けて、「〇〇を重点的に学ぶ時間を30分組み込んで」など追加質問をしていけば、個に応じた計画案ができそうですね。
指導案 添削/作成
・添削
自身が作成した指導案の良い点・改善点を出させるのも面白い活用事例です。
「厳しめなフィードバックをして」と指示すれば、研究授業では得られにくいコメントももらえるはず。良い点・悪い点ともに自分では気づかなかった点が見えてきます。
・作成
ここでは作成指示に対するChatGPTの回答を紹介します。
かなりざっくりした質問ですが、授業のねらい、時間配分も含めた細かい回答が出力されました。ディスカッションパートもあり、アクティブラーニングに対応しているような印象です。
化学の授業の指導案を作って。
単元は化学反応式。
授業時間は50分が2回。
ChatGPT回答
ここに生徒観・指導観・教材観を加え、さらに
- 「アウトプット多めにして」
- 「演習を多く取り入れた構成にして」
- 「冒頭にブレインストーミングの時間を5分組み込んで」
など、要求を細かく指示すれば独自の授業計画につなげられますね。
授業
スライド作成
授業で使用するスライドは枠組みがあると作成しやすいですよね。そこもChatGPTにお手伝いしてもらいましょう。
授業でのこだわりポイントなどを伝えることで、自分の授業スタイルに合った案が得られます。
指示例
現代文の授業で使うスライドを作成してください。
単元は山月記。導入用に5枚作ってください。
内容は30分で説明できるものにしてほしい。
生徒の興味を引けるようクイズもいくつか入れたものにして。
ChatGPT回答
教科書の解説文などを盛り込み、教材と互換性を持たせればいいですね。
活動
グループワーク、ペアワーク、ディスカッションなどの活動は授業に変化をつけたい時、欠かせません。でもマンネリ化してしまうことも多くないですか?
ここでもChatGPTが役立ちます。
質問例
数学の授業で使えるアクティビティを1つ考えて。
対象は高校2年生。
単元は”二次方程式”。
時間は15分。
ディスカッションを多く取り入れた活動にしてほしい。
ChatGPT回答
ChatGPTに質問を重ね掘り下げていくことで本質に迫る活動案が作成できます。
グループワークに不向きと言われる理系科目も質問の内容を工夫することで、活動案は広がります。
導入ネタ
授業導入時の小ネタ作成にも、無茶振りに得意なChatGPTは大活躍です。
質問例
- 鎌倉時代と21世紀の共通点を教えて
- 原核細胞を身近なものに例えると?
- 「助動詞の知識がないと困ること3選」を教えて
などなど。
記事が長くなるのでChatGPTからの回答は割愛しますが、いずれに対してもそれなりの回答が出力されました。(ファクトチェックは必要そう!)
ChatGPTに質問する際には生徒の顔を思い浮かべながら、興味関心を引く話題を単元と掛け合わせたらよいですね。
これらのネタをうまく導入で活用することで、生徒の授業への意欲は高まるはず!
教材作成
プリント
資料作成もChatGPTの得意分野。次のような内容で指示しました。
英語授業の復習プリントを作成して。
単元は助動詞。対象は高校2年生。
復習問題として、穴埋め問題、読解問題、英作文問題も入れて。
A4サイズ2枚に収まる量で、オールイングリッシュで作成すること。
ChatGPTからは、指示通りかつ解答付きの内容が出力されました。
また英作問題は、
”Write an English paragraph about your plans for the upcoming weekend using at least three different auxiliary verbs.”
だったので、「英作文の解答例と採点基準を表にして作成して。」と追加で指示すると、
ChatGPT回答
のように、採点ルーブリックが作成されました。
教科書の内容を反映させたり難易度を変えたりして、授業用・復習用のプリント作成に活用できます。
小テスト
授業の復習テストも、習熟度に応じてさまざまなパターンが作成できます。
- 問題数
- 難易度
- 回答形式
- 仕様
- 解答目安時間
などを指定することで、クラスに応じた内容に仕上がります。
しかしここでは、それらを一切無視して下のような漠然!!とした質問を投げました。
(正確に言うと、指示文を追記しようとしていたところ誤って送信した‥)それでも以下のように体裁の整った回答が出力されました。ちなみに解答欄も付属していました。
世界史Bの授業復習テストを作成して。
内容は「4世紀におけるローマ帝国の変化について」。
ChatGPT回答
私は英語科専門のため、上の問題がどれだけ高校授業にマッチしているのかは不明です。それでも質問を重ねることで如何様にもなることは想像に難くないです。
最近は学習アプリを使用することも多いですね。その場合にはそれらに応用できる形式で出力するよう指示を出しましょう。活用の幅は広がります。
さらに、解答をChatGPTに分析させることで生徒の理解度を見ることもできます。それらに特化した練習問題を作成するよう指示すれば、個別学習教材が一瞬で作成できます。
なお生徒の解答をChatGPTに送信する際は、個人情報が入らないように注意してくださいね。
自習課題
「子どもが熱を出したので遅れます!1時間目の授業、自習でお願いします!」
といった急な時にもChatGPTは使えます。
前時までの授業進度を反映させて、復習プリント/予習プリントの作成指示をすれば自習時間も無駄にすることはありません。
今は教科書内容のデジタルデータがあるので、教科書本文を入力して
- この内容を読みながら解ける授業プリントを作成して。
- 解答時間の目安は30分。
- 解答は別にして作成して。
などと指示。あとは出力された内容を加工して生徒へ配信すれば、他の教員への負担も最小限に済みますね。
「ChatGPT×授業」での活用事例を紹介しました。
ご自身の教科・科目に変更して、どんなものか実際にChatGPTを触ってみてください!
教員の負担軽減になることを願います。
CEOは教員です
さて、活用事例を読んだ方の中には
- これって、教員の思考力、創造力を低下させるのでは?
- 手抜きしているようでうしろめたい。
と感じた人もいるでしょう。
もちろん使い過ぎると、ChatGPTに提案や回答をすぐに求める傾向が強くなる恐れがあります。バランスを保ちながら教員とChatGPTとの相乗効果を活かすことが重要です。
自身の思考力や創造力を磨く努力は怠らないようにしましょう。
また、ChatGPTに作らせたアイディアは案の一つに過ぎず、それらすべてに従うわけではありません。
授業の主導権・最終決定権はあなた(教員)にあります。
ChatGPTに的確な指示を出すには、教員が生徒観・教材観・指導観を理解して、教育に対するポリシーを持っていることが前提です。指示する段階で、すでに熟考を重ねているはずです。
なので、手抜き感で後ろめたい、と感じることはないと私は思います。
むしろ作成にかかっていた時間を活用して新たな教育書を読み教養を深め、現場に還元できた方が意義があるように思います。
プライベート時間の確保もしやすくなり、心身ともエネルギッシュでいられることにもつながると考えます。
と言うことで、教員は「学びを追求するCEO」、ChatGPTは「アイディ出しが得意な社員」という気持ちで活用してみるのがよいと思います。
活用にあたっての注意点
最後に、ChatGPTを使うにあたっての注意点をお伝えします。
個人情報は入力しない
ChatGPTに入力した内容は学習データとして言語モデルの改善に利用されることがあります。送信内容には「個人情報」「機密情報」は絶対に含めないようにしましょう。
ChatGPTのオプトアウト機能
入力したデータを学習させない方法もあります。それがオプトアウト機能。
サービスやプラットフォームにおいて、ユーザーが特定の機能やデータの収集・利用を拒否することを指します。
機能を設定する方法には
- 「設定画面から行う方法」
- 「専用申請フォームから申請する方法」
があります。
注意点として1はチャット履歴が残りません。見返す必要があるなら2での設定がおすすめ。申請も2分あれば完了します。
いずれにしても、オプトアウトの設定はしておくことをおすすめします!
出力内容が正しいか確認する
ChatGPTが出力した内容には誤りもあり、すべてが正しいわけではありません。授業で用いる際には出力内容に間違いがないか、必ず自分の目で確かめましょう。
また、ChatGPTから出力された内容を用いる際には、なぜそれを採用するかという判断軸を持つことも大切です。出力内容が利用するに値すると考えた根拠を説明できる状態で用いるようにしましょう。
著作権を侵害していないか確認する
文部科学省の『初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン』によると、
「生成物に他人の著作物との類似性(創作的表現が同 一又は類似であること)及び依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)がある場合は著作権侵害となり得る。」
とされています。
学校の授業内での使用については、著作権法第35条によって問題ないとされていますが、HPに掲載したり、コンテストに提出したりする場合は、著作権者の許諾が必要となると記載されています。
活用の際にはこれらのことにも留意しましょう。
まとめ
以上、本記事では「授業でのChatGPT活用例」を主に「教員とChatGPTの関係性」「活用においての注意事項」についてお伝えしました。
記事が長くなる関係でChatGPT回答例をすべて載せられませんでしたが、どうでしょう?授業での活用方法のイメージは持てたでしょうか?
私が現役教員の頃には、ChatGPTはありませんでした。正確に言うと、ちょうどサービスが出始めた頃で、「そんな技術があるんだね」と当時同僚と話していたことを思い出します。
もしこのサービスが使えていたら作業系はほとんどChatGPTに任せ、本質に目を向けた授業作りにもっと専念していたのかも、と思います。
ChatGPTの活用により、仕事の効率化、学びの探究、そしてプライベート時間の充実につながることを願っています。
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