ChatGPTが仕事に役立ち便利だと言うことはご承知の通り。
でも学校現場において
- どんな場面で使えるのか分からない
- 具体的イメージがわかない
- 使いこなすのにコツが要りそう
と考えている方もいるのでは?
この記事を読めばそれらの疑問を解決できます。
ChatGPTが校務分掌にどのように役立つのか、その様々な応用例を探ってみましょう。
総務 × 広報業務
文書作成の得意なChatGPTは、広報誌の原稿作成や案内文書の作成といった広報関連の仕事に大活躍します。
広報誌/HP用の記事タイトル・原稿作成
広報誌やHPの原稿作成では、限られた字数で端的にまとまった文章の作成が求められますよね。これ、思いのほか時間がかかりません?センスも問われるし。
国語科の先生が綺麗な文章で仕上げられるのを見て、さすが!と感動していました。
でも皆がみな、得意ではないはず。
ということでChatGPTにお手伝いしてもらいましょう。
体育祭があったことを広報誌の記事の一つに盛り込むとして、このように聞いてみましたよ。
広報誌の記事原稿をタイトル付きで作成して。
いきいきとした文体で、250字を目安にまとめて。
内容は以下の通り。
「9月15日に体育祭が開催された。
小雨が降る中、開会式が行われたが、天気は次第に回復、表彰式には晴れ渡っていた。
どの学年も力一杯戦った。
中でも保護者から感動の声をもらったのは、応援合戦。
各学年独自のスタイルで観客を魅了した。
接戦の中、優勝を手にしたのは2学年。
惜しくも3年生は優勝を逃したが、互いを褒め称え合う1日となった。」
ChatGPT回答
私の片言の状況説明が、すてきな文章に様変わりしましたね!!
行事案内の文書作成
「中学校宛のオープンスクール案内」や「在校生に向けた留学案内」など行事に参加者を集めるには、魅力的な案内文が欠かせません。
でも一から作るのは時間がかかるし、例年の文書に手を加えただけは味気ない。
そんな時のアイディア出しにもChatGPTを活用してみましょう。
留学案内の文書作成について聞いてみました。
高校生に向けた留学案内の文書を作成してください。
次の項目を入れたフォーマルな文書にしてください。
・タイトル
・日時、期間(2週間)
・行き先(オーストラリア)
・目的
・費用
・積極的な参加を募る文面
・担当者
ダミー箇所は○○で補って作成してください。
ChatGPT回答
これに修正をかけ、学校独自の観点や教員のメッセージを加えれば、新たな案内文書ができあがりますね。
アンケート作成
アンケートの作成、集約も何かと総務部の業務につきもの。
条件を指定することでChatGPTから適切な質問が提案されて、目的に合ったフォーマットも作成してくれます。また、回答結果を分析して洞察を分析することも可能。
個人的に広報関連の仕事は外部委託してもよいのでは?と考えていました。
でもこれならその必要がなくなりますね。むしろ細かい注文を何度もすることが可能です。
教務 × Excel業務
エクセルは教務の仕事に欠かせないツール。
成績処理に時間割作成、教科書の注文管理など、情報量が多く複雑な作業も多いですよね。そこにChatGPTの出番がありそうです。
Excelの関数式を作成してもらう
どのような関数式を作りたいかを具体的に指定することができれば、かんたんにExcel関数を使いこなせます。
さらにChatGPTが作成した関数式は[Copy code]をクリックしてコピーができます。
そのままExcelに貼り付けすればOK。
ExcelでB2からB30までの平均値を求めて切り上げ、
80以上なら「合格」と表示される関数式を書いて。
ChatGPT回答
VBAでマクロを組んでもらう
関数だけではできないことも、ChatGPTにVBAのコード書いて貰えば、日々の業務が格段に効率化されます。
ただ、出力されたコードには誤りもあるので、実際に活用する前に練習用データで試すことを忘れずに。
Sheet1のA列からE列のデータをSheet4のA列からE列に、
Sheet2のA列からE列のデータをSheet4のF列からJ列に
コピーするExcelVBAのコードを作成してください。
ChatGPT回答
これらの機能をうまく活用することで、複雑な式と睨めっこするアノ時間が軽減されそうですね。
ちなみに、わからない関数やエラーについても質問することができますよ。
進路指導 × 個別計画・分析
個に応じた計画や分析が求められることの多い進路指導。
生徒一人ひとりの計画書を作成できればいいのだけど、なかなか現実的ではないですよね。
でも教員の経験×ChatGPT活用で叶いやすくなりそうです。
個別計画
就職・進学先の提案/個別の学習計画
生徒の、
- 関心ある科目や目指したい分野
- 学習傾向・日々の学習状況
- 得意科目・不得意科目
- 強み・弱み
などを条件にして、「関連する職業や進学先」や「カスタマイズされた学習計画」を提示するよう求めることができます。
もちろん出力される内容はデータから弾き出されるものにすぎません。より生徒にフィットさせるには、教員の経験や嗅覚が必要になります。
それでもChatGPTから判断材料の一つが得られるので、それを活用してさまざまな提案に結びつけやすくなりそうです。
模試結果の分析
模試やテストの結果を分析し、強みや改善すべき点を特定するのにも役立ちます。
どのような比較・分析をしてもらいたいかを具体的に指示することができれば、弱点となる科目や単元、改善方法についてのアドバイスや、過去の模試や過年度生、他校との比較から見える特徴も拾えます。
大まかな傾向をChatGPTに分析させ、細かい傾向や要因は教員がまとめる。
これにより、効率的にいろんなパターンの分析結果が得られ、学年や教科での効果的な学習戦略を立てることができそうです。
生徒指導 × 報告書
生徒指導事案が発生した時には、生徒たちから聞き取りをしたり、保護者とやりとりをします。
それら一連の情報を報告書にまとめるのって、なかなか時間がかかりますよね。
ChatGPTに”報告書作成”と指示することで、事案整理を効率的に行うことが可能です。
次のような事例で指示してみました。
高校生3人に行った事情聴取の内容を報告書にまとめてください。
5W1Hを正確に把握するために、それぞれの行動を時系列でわかりやすくまとめてください。
内容は以下の通りです。
生徒A:生徒Bに陰口を言われている気がする。私の方を指差しながら生徒Cと笑っていることがよくある。会話の内容は聞こえないけど、すれ違う時にも笑われることがある。
生徒B:生徒Aの勘違いだと思う。生徒Aと関わらないし。
生徒C:生徒Bが生徒Aの容姿のことについて悪く言うことはある。でも本人には聞こえてないと思っている。だから自分も大丈夫かなと思って特にBを注意しなかった。
聞き取りが複数日に渡ったり、より複雑な内容の場合でも整理してまとめてくれそうです。
活用にあたっての注意点
最後に、ChatGPTを使うにあたっての注意点をお伝えします。
個人情報は入力しない
ChatGPTに入力した内容は学習データとして言語モデルの改善に利用されることがあります。送信内容には「個人情報」「機密情報」は絶対に含めないようにしましょう。
ChatGPTのオプトアウト機能
入力したデータを学習させない方法もあります。それがオプトアウト機能。
サービスやプラットフォームにおいて、ユーザーが特定の機能やデータの収集・利用を拒否することを指します。
機能を設定する方法には
- 「設定画面から行う方法」
- 「専用申請フォームから申請する方法」
があります。
注意点として1はチャット履歴が残りません。見返す必要があるなら2での設定がおすすめ。申請も2分あれば完了します。
いずれにしても、オプトアウトの設定はしておくことをおすすめします!
出力内容が正しいか確認する
ChatGPTが出力した内容には誤りもあり、すべてが正しいわけではありません。業務に用いる際には出力内容に間違いがないか、必ず自分の目で確かめましょう。
また、ChatGPTから出力された内容を用いる際には、なぜそれを採用するかという判断軸を持つことも大切です。出力内容が利用するに値すると考えた根拠を説明できる状態で用いるようにしましょう。
著作権を侵害していないか確認する
文部科学省の『初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン』によると、
「生成物に他人の著作物との類似性(創作的表現が同 一又は類似であること)及び依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)がある場合は著作権侵害となり得る。」
とされています。
学校の授業内での使用については、著作権法第35条によって問題ないとされていますが、HPに掲載したり、コンテストに提出したりする場合は、著作権者の許諾が必要となると記載されています。
活用の際にはこれらのことにも留意しましょう。
まとめ
以上、
- 総務×広報業務
- 教務×Excel
- 進路指導×個別計画・分析
- 生徒指導×報告書
での活用例を紹介しました。
使うのにコツはほとんど要りません。
私の統一感のない指示文でも答えが得られることをお分かりいただけたと思います。
そして、教員の負担軽減にChatGPTを使わない手はないと思います。
いや、そもそも業務量の軽減が図られればいいのですが‥。
実現にはまだ時間がかかりそうな気がするので、ぜひ今回紹介した例を参考に個人で改善を図っていきましょう。
合わせて読みたい🔗「【教員×ChatGPT】活用ワザ ~授業編~」
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