体育祭や卒業式、修学旅行などの学校行事では、教員はどんなことをするのか?先生たちも楽しめるの?それとも大変?など疑問に思う方もいるかも知れません。
この記事では、学校行事に関わる教員の仕事内容や心構えなどについてご紹介します!
行事ごとの仕事の特徴
式典系入学式・卒業式・離退任式 など
仕事内容
式を行うにあたり、まずは計画を立てます。実施要領の作成は総務部が主担当となっている学校が多いです。
毎年実施していることなので大枠は例年通りだけど、毎年何かしら変更点はあります。その変更に応じて関係する箇所を修正して、その年版を作ります!
計画を全体に周知したら、当日までに必要な物の作成や準備をする。
前日には会場設営。体育館の椅子並べや来賓席、受付などのセッティング、掲示物の設置や放送照明機器の点検などをするよ。体育館の準備は生徒も一緒に行うことが多いので、だらだらしないよう、テキパキと指示出しして指揮を取ります。
当日は、受付、放送、司会進行、駐車場の誘導など、教員全員で役割分担して式を運営します。
必須アイテム
礼服(男性なら白ネクタイ、女性ならパールなどの装飾品。男性校長は燕尾服(またはモーニング)も必須。)
入学式、卒業式で着用します。こんなに礼服を着る職業ってなかなかないと思う。
作業着(動きやすい格好)
会場設営時には軍手、体育館シューズ、ジャージなど作業に集中できる格好になるのがベターです。式の準備では衣類を汚すものや重たいものもたくさん運ぶよ。
カイロ
寒い時期の体育館は底冷えになる。防寒対策が必須です。貼るカイロを背中足元に用いて寒さ対策を!
楽しい/大変なこと
▶︎1年間に様々な「節目」を感じられる
教員の1年は、高校生時期の若者の、成長や節目に立ち会う時間になる。
会社にいると1年はあっという間に過ぎて、成長をしみじみ味わう場面はあまりないもの。教育現場はそんな大人社会の時間の流れと少し異なる。
卒業式(特に3年間担任を持っていた教員にとって)は、保護者同様に感慨深い瞬間になる。
▶︎ミスがないよう神経を使う
式典は厳かな行事。特に保護者を迎える入学式や卒業式はより緊張感があります。
生徒保護者にとって人生に一度の晴れ舞台が格式ある瞬間として思い出に残るよう、準備段階から当日まで、漏れのないよう入念な確認、進行が求められる。
▶︎フットワークの軽さが求められる
机上だけでは完結しないタスク。現場確認や関係各所との連携、暑い寒い環境下での体を動かす作業など、一箇所に腰を据えて進める業務ではない。
別の案件、仕事に追われいる時は手間に感じることもあるけど、やらないわけにはいかない。テキパキと進める力が身に付きます!
生徒主体系体育祭・文化祭・オープンスクール など
仕事内容
これら行事の主担当は生徒指導部、体育科がすることが多い。
実施要項の作成、全体への周知ができたら、生徒が主体となって動き運営できるよう声掛け・サポートをする。教員は裏方となり、見守り、アシストに従事する。
生徒は悩み迷いながら、初めての役割分担などに取り組むので、思うように進まないし、生徒同士ぶつかることもある。
見通しを持たせ、助け合いの重要性に気づかせ、時には叱責もする。
行事を成功させることが生徒の目標であるのに対し、生徒に多くのことに気づかせ成長させることが教員の目標。
前日は展示物の設置や会場設営、テント張りなどの準備を生徒とともにする。
当日は、教員ごとに割り当てられた持ち場での業務に専念。一日中動きっぱなしです!
終了後は、片付け。そして生徒へのフィードバック。しっかり評価して、お疲れ様を伝える。
これらの行事は、業務しながら教員自身も楽しむこと。生徒と同じ瞬間、感情を同じ目線で共有するすることで、つながりや一体感、信頼関係が形成される。
その他、会計管理や生徒を集めての委員会実施、準備物や配布物などの用意など。
必須アイテム
サブバッグ(要項や必要な道具、飲み物、タオルなどを持ち運ぶ)
スポーツウェア・帽子
水筒
楽しい/大変なこと
▶︎集団の一体感や達成感を味わう
集団で何かに取り組むのって、学校ならでは、青春ならではのもの。大人社会でも企業一丸となる状況はあるものの、利益に根ざしたもので目的がある。
学校は個々の思いがベースにある。素直な思いを交錯させながら懸命に取り組み、生徒たちは一つとなる。そんな瞬間を目の当たりにした時は本当に感動し、心動かされる。
▶︎労力はかかる。時間をかけることを前提に。
生徒が思うように進められない状況を見てもどかしく思い、口出ししてしまいそうになることも。生徒の学びの機会を奪わないよう時間をかけることを意識したい。労力はかかるが、学校行事の目的を思い直し見守る。
▶︎計画は綿密に作成
実施要項作成時では、教員に加え生徒の役割分担も入るので、動静表は複雑になる。計画作成は手落ちがないよう細心の注意を。
▶︎主役キャラ、目立ちたがり屋教員はより楽しめるかも
教員も何かしらの行事参加を求めらる。ステージ発表や教員チームで種目に参加するなど。ノリよく生徒を盛り上げられる教員は重宝される。そして多分本人も楽しんでいるはず。人気者キャラの教員にとっては楽しめるイベント。
生徒参加系遠足・修学旅行・マラソン大会 など
3 生徒参加系:芸術鑑賞・修学旅行・遠足・避難訓練・球技大会・マラソン大会 など
仕事内容
これらの行事は実施計画の作成段階で、学校外部の人たちとのやりとりが発生する(旅行会社や消防署、劇団など)。
何度も確認の連絡を入れるなど、無駄な業務を増やさないよう(相手にも迷惑をかけないよう)、確認事項を洗い出し、段取りよく連携をとることが求められる。
主担当は総務部、体育科など。
修学旅行といった、ボリュームがある行事に関しては、学年会や分掌会議で定期的に議題に出し、確認検討を重ねていく。
当日は、生徒の安全を最優先に、撮影や外部の人の対応などをする。計画通り進めば、教員も参加スタイルで楽しめるものが多い。
ただ修学旅行は緊張状態が続くもの。全員が無事に帰宅するまでは油断できません。
必須アイテム
ベンチコート
活躍場面はマラソン大会。結局私は持たずじまいで「教員時代に買っとけばよかったもの」リスト上位に入る。
マラソン大会以外には、冬季の部活動指導時や修学旅行でも重宝する。
外出可能な部屋着
これは修学旅行時に。夜中に緊急で対応することがあるのですぐ出られるような格好で休むことをおすすめする。着替えに時間を取ったり、ホテル備え付けのパジャマで出るわけにはいかない。
楽しい/大変なこと
▶︎非日常体験ができる
普段と違う時間、場所で過ごすのは生徒だけでなく、教員にとっても新鮮で学び多いもの。
むしろ大人になった後の方が、現役高校生の時より深く楽しめる気がする。
▶︎緊急事態、トラブルに備える
事件事故に巻き込まれないよう細心の注意を払い、いざ問題が発生した時にはその対応に追われる。
どんなに注意をしていても、トラブルはつきもの。事態が発生した時の対応力、体力が求められます。
この仕事のメリット
仕事内容が多岐にわたり、年間を通して日々の仕事がマンネリ化しにくい。
感性を刺激するもの、体を動かすもの、童心に帰るような瞬間もあり、生徒の表情を見てさまざまな感情が動かされる。
行事によっては終日動き回り、ある種のエクササイズともなる。
年を追うごとに、行事に対する思いや見方が変わってくるのも、教員ならではの面白み。教育の一環として、行事を通して伝えたいことが変化していく。
学校行事に対する姿勢・心構え
教員として学校行事にどのように向き合えば良いか。
まず、それぞれの行事の持つ役割や意義について理解すること。
そしてそれらをどのよう生徒に伝えるかにこだわる。
学校行事には成長における大切な要素がたくさん含まれる。
仲間との共同作業を通して協調性や他者理解の精神を育む。
達成感を味わうことも悔しい思いも経験することも。
文化伝統に思いを馳せ、感性を磨き、多様性を理解する。
節目を意識して自己成長、自己実現について考える、など。
教員は漠然と業務をこなすことのないよう、生徒に達成させたい目標やゴールを設定してから臨みたい。
そして生徒と共に、教員自身も楽しみ、学びの姿勢を常に持つことが学校行事を充実したものにする。
終わりに
私自身教員として学校行事に携わり、改めて考えたり変化成長したりと、学びがたくさんありました。
生徒も時代も変わる中で、行事の持つポテンシャルを引き出し教育活動に活かしたいと考えていました。
また会社員では経験できない、人とのつながりや感情が教育現場には溢れています。そのことをより強く感じるの場面の一つが学校行事でした。
人間力を築く上で奥の深い職場環境だと考えます。
以上、学校行事に関わる教員の仕事について紹介しました!
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